医師向け

Stage III結腸癌の術後補助療法の3か月と6か月の安全性比較

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雑誌:ESMO open
佐野病院の小高先生
IDEA(the International Duration Evaluation of Adjuvant chemotherapy colon cancer)試験の一部の試験で、日本で行われたACHIEVE試験の安全性評価の検討

Introduction

大腸癌は世界で3番目に多く、癌関連死でも3番目。Stage IIII結腸癌の術後補助療法では、FOLFOXCAPOXが確立されている。

 

末梢神経障害(PNS)はオキサリプラチンの容量規定毒性である。

MOSAIC試験(FOLFOX4)ではPNSのGrade 231.4%Grade 312.5%で、補助療法終了4年後にも15.5%PSNが残存していた。

 

JOIN試験でも20%が補助療法終了3年後にPSNが残存しており、PSNの軽い段階では回復が早いことが報告されている。

 

アジア人でのPSNの頻度の報告をすることと、腎機能におけるCAPOXの毒性についての検討を行う。

Patients

虫垂癌は除いた、盲腸からRSまでを対象としている。

 

通常のmFOLFOX6CAPOXを使用。

オキサリプラチンの毒性が問題になったら、FOLFOXsLV5-FU2に、CAPOXはカペシタビン単剤に移行。

 

CAPOXの毒性が多かったため、CCr30以下を除外基準に追加、CCr30-50はカペシタビンを減量するプロトコール変更を行っている。

Results

2012-2014年の日本の244施設の1291が解析対象。

 

PNS以外のAdverse eventとしては、Grade 3以上の、全イベント・好中球減少・手足症候群が3ヶ月群で少ない。

 

多変量解析でGrade 3以上の合併症はFOLFOXOR:0.56)とCAPOX0.52)ともに、3ヵ月で少ない。CAPOXではCCr50以下で副作用が多い(OR:1.67)。

単位はいずれも%。

Discussion

そのほかのIDEA内のstudyに比べると、日本人ではPNSは少ない。( Grade 26か月で20-30%少なく、3ヶ月で10-20%少ない。Grade 36ヶ月で25%、3ヵ月で8%低い。)

IDEAで、CAPOX3ヶ月治療は6ヶ月治療に比べて非劣性の結果であった。Stage IIハイリスクに対するACHIEVE-2も本邦で進行中である。

感想

血液毒性はFOLFOXで多く、それ以外の合併症はCAPOXで多い。

といいつつも、有意差はないが、Figure上はFOLFOXでもCCr 50未満で多くみえる。

全体的にはFOLFOXの方がGrade 3以上の合併症は多い。腎機能不良であれば、どちらがよいかという点ではかなり微妙。

3ヵ月でいいなら3ヵ月にするが、問題は主解析の方。治療期間が短くて副作用が少なくても、生存率で問題になるなら受け入れられない。

オキサリプラチンのPNSは昔は牛車腎気丸使ったけど、最近はデュロキセチンが有用とされています。2013年のJAMAに乗った論文です。またそのうち読んでみます。

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