雑誌:Annals of Surgery 2019
Dresden大学のNuh N. Rahbari先生
Introduction
大腸癌は1/4が診断時に遠隔転移を有し、フォロー中に20%が再発する。
同時性転移、早期再発は腫瘍の悪性度が高く、一般に予後が悪いとされる。
CAIRO-3では再発を6か月で区切ると前後の成績は同等であった。
異時再発が予後悪いという報告もある。
Methods
DACHS study(2003-2012の前向き、ドイツ南西部の住民をベースにしたケースコントロール)
Results
1027人が解析対象
Immediate(1か月までの再発):566人
Early(2-6か月):52人
Intermediate(6-12か月):92人
Late(12か月以後):317人
臨床病理学的因子
Immediate:T4が多い、リンパ節陽性が多い、原発切除が少ない、全身化学療法施行率が高い、複数臓器の転移が多い、肝転移・腹膜播種が多い。
Intermediate Lateの再発:肺転移が多い。
EarlyでMSI-highが多い
生存解析
5.2年観察期間
795人死亡
年齢・性別・占居部位・T因子・N因子・原発切除・一回目の転移時の化学療法・この化学療法の反応までの期間・転移巣切除などでそろえると再発時期での有意差はなくなる。
Lateで女性はHR:1.45、右側結腸でHR:1.54、N0・N1が悪い。
大腸癌の診断時点での遠隔転移の存在は、OSの独立した予後規定因子(immortal time biasを含んでいる)
Discussion
再発までの期間が長い腫瘍は腫瘍内のheterogeneityが強く、治療抵抗性の可能性がある。
占居部位の予後の差はBRAFや粘液癌・MSIなどの特徴の差を示唆している可能性あり。
感想
転移時期が遅いものの方が予後が良いと一般に言われており、大腸癌取扱い規約では、肺転移の項目にDisease Free Interval(DFI)が含まれています。
今回の検討はあらゆる遠隔転移なので、肺のDFIの項目はこの限りではないのかもしれません。
ただ、必ずしもDFIが長いものが良いとは限らないという報告はありますので、このあたりももう少し知見の集積が必要なのでしょう。
Discussionにもある通り、再発が遅い群では腫瘍内の組織の多様性があるのか、N0の方が予後が悪いというちょっと意外な結果です。普通はリンパ節転移があった方が予後が悪そうなのですが…