大腸癌の現在最強レジメンについて
雑誌:Clinical Colorectal Cancer 2018年
九州大学の沖先生のQUATTORO試験の報告です。
Introduction
FOLFOXIRIはFOLFIRIに比較し、奏効率、PFS、OSで良い。
TRIBE studyによると、FOLFOXIRI+B-mabはFOLFIRI+B-mabに比較し、奏効率、PFS、OSで良い。
FOLFIRI+B-mabはGrade 3以上の好中球減少を日本人の45%で発症するが、TRIBE studyでは20%の報告であり、日本人はコーカソイドよりもFOLFIRIレジメンで好中球減少を起こしやすい可能性がある。
Methods
Study design
単アームの多施設Phase II試験
Patient selection
20-75歳
PS0-1(70歳以上ではPS0)
UGT1A1変異は野生型か、ヘテロまで。
Treatment and Evaluation
Induction therapyはFOLFOXIRI+B-mabを12サイクル
Maintenance therapyは5-FU/l-LV+B-mab
PDまで継続
Results
2014-2015年の69人の患者
UGT1A1の野生型は43.5%
Treatment Exposure
64%がinduction therapyを施行できた。
75%が減量が必要で、1-2コース目に43.5%が起こり、それ以降は42%
薬剤強度はおおむね8割程度
43人がmaintenance therapyで10サイクル可能。
Efficacy
観察期間中央値は19.6か月
PFSは13か月、10か月のPFSは75%
OSは1年93%、2年77%
CRは3%、PRは70%、26%はSD。病勢コントロール率は98.5%
30%が手術、R0切除が25%が施行できた。
10か月のPFSは右側結腸で35%、左側結腸で83%と有意差あり。
Safety
Grade3以上の好中球減少は73%(62%は2コース目までに発症)
好中球減少はUGT1A1ヘテロで多かった(45% vs 13%)が、発熱性好中球減少症は有意差がなかった(25% vs 10%)。
FOLFOXIRIはFOLFIRINOXに比べて、5-FUは多め、イリノテカンは少な目のレジメンになっています(NEJMのレジメン比較)。
自分でまだ使ったことはないのですが、かなり気にはなっています。
Waterfall plotを見てもらえると明らかですが、かなり効果は高い。
Grade3以上の下痢は10%、食欲不振も10%との報告ですが、十分状態の良い人に使いたいと思います。
血液毒性は1-2コース目に多いようなので、要注意です。
副作用の多いレジメンなので、右側結腸でPFSが悪いことも踏まえて使いたいと思います。これはBRAF含めたバイオマーカーでもう少しスクリーニングできるかもしれないですね。
コーカソイドって表現をWikipediaで調べると差別的な意味合いとかいろいろあるみたいですね。知らなかった。
Discussion
好中球減少は明らかに日本人で多い。
G-CSF製剤の予防投与は認められていなかったが、22%で発熱性好中球減少を発生した。
UGT1A1*6はアジア人に多い。UGT1A1*28はコーカソイドに多い。
このレジメンではG-CSF製剤を予防投与した方が良い。
n数が少ないので、UGT1A1ヘテロの減量については検討できていない。