雑誌:Annals of Surgical Oncology 2019
オランダのエラスムスMC Cancer InstituteのJ.A.W.Hagemans先生
Introduction
直腸腺癌の鼠径リンパ節は比較的まれにみられる。
AJCCでは直腸癌の鼠径リンパ節は全身転移とされている。
治療は緩和的か根治的にするかははっきりしていない。
Methods
2005-2017年 単施設 後ろ向き研究
同時性(原発巣術前に診断)・異時性(原発巣術後に診断)を含める。
術前化学放射線療法は、原発巣に50Gy+カペシタビン、局所再発巣に30Gy+カペシタビンで、鼠径リンパ節は30-50%程度の照射
Results
27人が解析。19人は根治的(17/19人が実際に手術あり)、8人は緩和的治療企図
80%は低位直腸癌
根治的切除
35%が術後合併症あり、4人が漿液腫、2人は創感染。2人は経過中にリンパ浮腫あり。
12個のリンパ節郭清で1個が陽性
4人はリンパ節転移なし(うち3人は放射線療法でCR、うち1人はtumor deposit)
遠隔転移が鼠径リンパ節のみの12人は5年OSは52%
緩和的治療
50%が訴えあり、4人は強い疼痛、3人はリンパ浮腫。
緩和的治療企図だった8人全員死亡
1年OSは63%、3年OSは0%
Disucussion
根治切除するとリンパ浮腫・緩和的治療では強い疼痛あり
放射線治療と手術を組み合わせると、創離開やリンパ浮腫などの合併症が増加する。
感想
ときどきしか経験しない直腸線癌の鼠径リンパ節の報告です。
鼠径郭清後はドレーン抜去時期で悩み、外来で穿刺をするのが常です。
やはり症例数が少なく、解析が十分とは言い難いところですが…
根治切除が可能であれば、肝臓も肺も30-50%は5年生存が期待されますので、鼠径リンパ節も同様に根治が狙えれば切除が適当であるという結果で良いと思います。