雑誌:Cancer Science 2015
愛知県立がんセンターの谷口先生
セツキシマブとパニツムマブの(抗EGFR抗体薬)使用は転移性大腸癌で生存率の改善があった。
2008年からKRAS exon 2(codon 12, 13)の変異には禁忌とされている。KRAS変異のある腫瘍ではFOLFOX単剤に抗EGFR抗体薬の上乗せ効果はない。
KRAS exon 2以外のKRAS NRAS変異は同様に抗EGFR抗体薬に抵抗性である。
KRAS exon 2変異のない20%で、その他のRAS変異は認められ、無視してよいものでない。
RAS変異検査の基本的な必要性
抗EGFR抗体薬はRAS変異患者では腫瘍縮小・生存率改善に寄与しない。
KRAS exon 3, 4とNRAS exon 2, 3, 4の変異はKRAS exon 2と同等の予後。
Vitroでは、codon 12, 13, 59, 61, 117, 146ではRASの過剰発現が認められているが、臨床的な予後はわかっていない。
KRAS exon 2のみを検索するだけでは不十分と考えられる。
繰り返しRASの検査をすることは不要。
KRAS exon 2変異は35-40%で、その他の変異は10-15%である。
RASの変異は腫瘍発生の初期の段階で起こる。
RASの変異は原発巣と転移巣でのRAS変異の一致率は97%。
化学療法ではRASの変異率は変わらない。
抗EGFR抗体使用では変化することが知られているが、臨床的な意義ははっきりしていない。
固定のホルマリンは10%で、固定時間は6-48時間が良い。
感想
大腸癌では最も多く認められる遺伝子変異の一つであるRAS変異についての解説。
FOLFOXとFOLFIRIにのみ、抗EGFR抗体薬のレジメンが大腸癌ガイドラインで推奨されている。
CAPOXとCAPIRIでも使えるならCVポートフリーで使用できるので簡便性があがるのだが。こちらも何らかのエビデンスがあるのでしょうが…
次はBRAF変異についてでも読もうかな。