雑誌:Annals of Surgery 2019
MD AndersonのKristoffer W. Brudvik先生
Introduction
肝転移切除後の生存率は40%
スローンケタリングは臨床スコアとして、CEA・原発巣のリンパ節転移・転移巣の大きさ・転移巣の数・転移巣診断までの時期を挙げている(t-CS)。
15-35%の転移巣でRAS変異があり、OS・RFSが悪いという報告あり。
Methods
2005-2013 多施設 後ろ向き研究
非切除の病変がある場合は肝転移巣切除の適応外
残肝容積が足りないときは門脈塞栓・2期的肝切除もあり
OS・RFSの起点は肝切除
RAS変異は肝転移巣の切除標本で判定
Results
56歳、58%が男性
周術期化学療法は87%
このうち、B-mabが67%、抗EGFR抗体は4%
OSに対する多変量解析で、原発巣のリンパ節転移・転移巣の最大径・RAS変異が残った。
この3つに各1点としてm-CSとする。
OSは術前化学療法の反応とも関与していたが、術前には評価できない問題もある。
Disucussion
CEA測定はタイミングやカットオフ値が標準化されていないという問題がある。
DFIが長い腫瘍はSlow growingで予後が良いと考えられてきたが、術後補助療法をしたあとに出てくる転移巣は化学療法抵抗性で予後が悪いという考え方もある。
感想
肝転移巣のRAS変異が予後に影響を与える内容でした。
本当にきれいにカプランマイヤー曲線が分かれました。
5年OSはm-CSを用いると、0点で8割、1点で4割、2点で2割、3点で2割ぐらいですね。
転移巣切除後の予後は50%未満であることを考えると、化学療法を中心とした集学的治療が更なる予後改善には必須だと考えられます。
こういった予後因子を組み合わせて、術後補助化学療法の強度を変えるというのも将来有効になるのかもしれません。