雑誌:Colorectal Disease 2018
European Society of Coloporoctology(ESCP) collaborating groupからの発表
Introduction
ERASでは機械的前処置(MBP)は推奨されていない。
MBPと経口抗菌薬内服(MBP+ABx)の方がリーク率が低いとの報告があるが、質的な問題がある。
Methods
消化管手術をしているあらゆる施設が参加可能
対象手術は左半結腸・S状結腸切除と直腸切除で吻合は1か所
前向き研究
Results
47か国の343施設、3676人
直腸手術のうち22%が術前療法あり
患者背景は、MBP+ABxは高齢で、低リスク、やせている、心血管疾患が少ない、喫煙者が少ない、中下部直腸が多い。
30%が前処置なし(NBP)、53%がMBP、17%がMBP+ABx
FigureからはNBPが中下部直腸で少なくなり、MBPは増える。+ABxはほぼ一定。
Anastomotic leak
全リーク率は8.5%
リークは男、中部以下の直腸、術前療法あり、手縫い吻合、人工肛門造設で多い。
MBP+ABxは6.1%、MBPは9.2%、NBPが8.7%で有意差あり。
合併症もMBP+ABxで8.6%、その他は11.5%と良い。
多変量解析では、MBP+ABx(OR: 0.52)、側々吻合(OR: 0.38)で、男性(OR: 1.91)の結果
リークすると、在院日数は2倍(17日vs 8日)、死亡率は5倍になる。
感想
考察はあまり何もなかったので、割愛。
左側結腸は3割が前処置なしという結果でした。思っていたよりずっと多い。
ただ、参加施設が多いことと、患者背景に偏りがありすぎて、評価は少し難しいです。
MBP+ABx症例の患者背景がかなり良いことと、ABxを追加している患者数は一定なところをみると、抗菌薬も使ってるぜーなハイボリュームセンターの施設の症例数が成績良いところに関与していそうな雰囲気が…(完全に想像です。論文内容からはまったく不明です)
この結果をもって一概に良いとまでは言えないと思いますが、ヨーロッパの前処置についての雰囲気がわかるので紹介してみました。